やりたいこと
私には、明確な人生計画がない。
そういったものを立てたところで、天命と異なれば実現には至らない。
まだ天命の自覚がない。ならば計画はなくて当然であって、極く自然なことと思っている。
漠然とした理想はある。
住むならば田舎の平屋で、山の麓が良い。
周囲に人がいない、ぽつんとした一軒家が良い。
自動車もほとんど通らず、鳥や虫の声、雨の音、木々が風に吹かれる音などがよく聞こえるのが良い。
庭は広いのが良い。家庭菜園にしたい。
自分で食べるためにも野菜を作るが、食べるよりずっと多く作る。
それを食べに、山から鹿や猪が来るようなのが良い。
粟や稗、黍なども作り、実ったら庭に散らかしておく。鳥がやってくるだろう。
家は小さくて良い。
書斎、土間、客間があれば良い。
書斎は小ぢんまりとしていて、経書の類はしっかり揃っている。雑多な本はない。
そこで日々学び、執筆にも取り組む。
客間には囲炉裏があると良い。
年に数回、親族・義弟・朋友などの訪問を受ける。
春。庭の花や山の新緑を眺めながら酒を飲む。山に桜が咲いていると嬉しい。
夏。燦々と照る太陽、山は益々緑が深く、蝉はけたたましく鳴き、庭の鳥も活動的。それで酒を飲む。
秋。山は赤く色づいている。それで飲める。夜は虫の声を聞き、月を眺め、静かに飲みたい。徐々に気温が低くなり、肌にひんやりとくるのを感じながら飲む。秋は酒の肴が豊富だ。
冬。雪が降る。囲炉裏に火を入れ、鉄瓶で酒を温め、雪見しながら飲む。窓は開け放ち、ドテラを着て、体を小さくして飲んでいる。
1~2人の訪問を受け、これがやりたい。
やや広い道場を設けたい。
そこで学問を講じる。
特に募集することはないが、誰でも受け入れる。
若い人を教えられればなお良い。
お金は取らない。住み込みでも良い。
家庭に事情を抱えた子供などは、いつでも駆け込んでくると良い。
そこに行けば、やさしいおじさん(私)やお兄さん(塾生)がいて、話を聞いてくれる、大切なことを教えてくれる。
しかしふわふわ、だらだらしているのでもなく、きちんと礼がある。
こんなことがしたい。
もう10年くらいも前だろうか、弟にこんなことがしたいと話した。
今も変わらない。
目標は明確だ。孔子に似ることだ。
こんなことができれば、孔子に少し似るのではないかと思う。
昔から、孔子が理想像だったのかもしれない。
そのために、具体的に取り組んでいるわけではない。
強いていえば、ごく短期の学問については計画的に取り組んでいる。
天命の自覚はないが、立命は重く考えている。